竹林管理の問題を地域の方々に知ってもらう施策としての「クラフト墨汁プロジェクト」

SOZAi循環Labは、生活者の視点で身近な素材を楽しみ、素材を深く知ることを通して、サステナブルな商品の開発や暮らしの行動変容を目的とした地域共創に取り組む、ネットワーク型のリビングラボです。地域の人と人のつながり、環境、技術を生かして、地域のあちこちに小さな循環をたくさん創っていきたいと思っています。

第一弾の研究素材として「竹」を取り上げ、2023年度は下記3つを研究テーマに活動しています。

  1. 郊外住宅地において、小さな竹林を地域ぐるみで維持管理していく持続的な仕組み
  2. 無煙炭化器で炭焼きした特徴ある竹炭を生かした商品やサービスのモデル開発
  3. 「材」としての竹および竹炭の身近な用途

成長期を過ぎた竹をその場で燃やして炭にすることにより、輸送や廃棄のコスト削減に加えて、炭素を固定化し温室効果ガスの排出にも貢献します。作った竹炭は、暮らしの中で除湿や消臭に活用するほか、水質浄化剤や土壌改良材として活用できます。

竹林の管理は、コスト的にもマンパワー的にも大変です。かといって放置しておくと、地下茎でどんどん密集・拡大し、災害や生物多様性の低下につながる危険もあります。「だったら竹林なんて駆除した方がいいのでは?」という意見もあります。確かに駆除したほうがいい竹林もあるでしょう。一方で、観光や筍でビジネスとして成功している大規模な竹林もあります。そのどちらでもない、郊外住宅地の「小さな竹林」を、暮らしの中で活用できないか?そうすることで、管理者の負担を減らすとともにコミュニティ醸成や"ローカルSDGs"につなげられないか? ──

住民レベルでできる解決策の一つとして、私たちは 株式会社キクシマ様のSDGs基金 を活用させていただいて「竹炭チャレンジ」を2022年秋冬に展開し、竹炭づくりのノウハウを習得しました。炭焼きには「無煙炭化器」(株式会社モキ製作所製)を使用します。その名の通り、煙が出ず設置も簡単なので、郊外住宅地でも使用しやすいものです。

竹炭を墨汁にするアイデアは、竹炭チャレンジの中で開催した三菱ケミカル・青葉台リビングラボさんとのアイデアソンから生まれました。墨汁の商品化は、地域の方々に竹のことを知っていただくキッカケづくりが目的です。

2023年11月23日より竹炭墨汁の商品第一弾を販売します。販売を通して地域の方々の声やニーズを集めながら研究テーマに取り組んでいきます。

竹炭墨汁は、商品化第一弾の後も以下のような展開を予定しています。

  • 原料に使っている水のりを合成樹脂から天然由来に切り替える
  • 容器をプラスチックフリーにする
  • 地元の竹を燃やしてオリジナル墨汁を作る「クラフト墨汁プロジェクト」を各地に広める

私たちの活動に賛同し、宮谷小学校4年1組の総合学習「41竹Lab」の皆さんが三ツ沢公園の間伐竹から竹炭墨汁を作り、そのお披露目として2023年12月に三ツ沢公園で「THE 竹フェス」を開催します。SOZAi循環Labも主催者として参加します。こちらもぜひご来場ください。