【インタビュー(全3回)】コンサートプランナーに聞く ─ 第1回 クラシック音楽×地域

【インタビュー(全3回)】コンサートプランナーに聞く ─ 第1回 クラシック音楽×地域

スパイスアップのフリーペーパー 2018年春号/Vol.13 から「クラシックとともに」を連載中の 芥川純一 さんは、青葉台駅に隣接する フィリアホール (横浜市青葉区民文化センター)のコンサートプランナー。同ホールでは年間60本近くの主催・共催コンサート・イベントの企画制作に携わっています。

そんな芥川さんに、フィリアホールと地域のつながり、ご自身のクラシック音楽との出会いをお聞きする全3回。第1回は、地域に開かれたクラシック専用ホールとしてのフィリアホールについてです。

─ フィリアホールの特長を簡単に言うと?

 なんといっても、特にリサイタルや室内楽を中心とした小規模な クラシック音楽を聴くことに最適化された環境 です。音響は都内の一流ホールと比べても遜色ありません。それに、これほどクラシック音楽の公演に特化して取り組んでいるホールは、横浜市内では神奈川県立音楽堂、横浜みなとみらいホールとフィリアホールくらいではないでしょうか。

 にもかかわらず、横浜市の「区民文化センター」という施設なので、利用料はかなり安く 設定されています。都心で同等規模のキャパシティのホールを借りると利用料が数倍になることもあります。またアクセスの面でも、駅に隣接する商業施設の最上階 という好立地です。そのため「フィリアホールはなかなか施設予約がとれない」というお声をいただきますが、平日は空いている時間帯もあるので狙い目です。

─ リハーサル室でもミニコンサートが開催されていますよね。スパイスアップWebでも以前、青葉台出身の 木村有沙さん(サックス)と小坂友紀子(ピアノ)さんの ワンコイン(500円)コンサート を紹介したことがあります。

 500席の コンサートホール に加え、リハーサル室練習室 も頻繁に利用されています。リハーサル室は60席まで椅子を並べられる大きさで、反響板もありセミグランドピアノも一台置いてあるので、最近はミニコンサートとしての利用が増えています。また3つある練習室は各部屋定員10名、8名くらいまでのアンサンブルが可能で、楽器の練習用としての稼働率が高いですね。

─ 子供向けコンサートを多く手掛けていますが、クラシック音楽専用ホールとしては珍しいのでは?

 最近こそだいぶ変わってきましたが、いまだにクラシックコンサートの多くは一般的に未就学児入場不可です。しかし一方では、「子供と一緒に楽しみたい」「子供のうちからクラシックに親しんでもらいたい」という要望は多くあります。

フィリアホールには1993年のオープン当初から、地域に開かれたクラシック専用ホール というコンセプトをもち、子供向けコンサートは昔から開催しています。2013年に指定管理者制度の導入によって全面的に横浜市の運営する施設になって、原則全利用枠が市民枠になってからは、さらに力を入れています。

─ 青葉区は子育て世代の多いまちだからニーズも多そうですね。たとえばどんな子供向けコンサートがあるんですか?

 0歳から6歳までのお子様におすすめなのが、7月に開催する「ぼくとわたしのはじめてのクラシックコンサート」です。寝ても泣いても大丈夫という、コンサート鑑賞の練習にしていただける30分間のプログラムです。また9月にも1~3歳児とファミリーのための「プチ・コンサート」をホワイエ(ロビー)で開催します。

 ホールを使った本格的なコンサートでは、3歳から小学生向けの企画として夏休みとクリスマスのファミリー・コンサートが、未就学児のお子様と大人の両方が楽しめる約1時間のプログラムとして「Concert for KIDS ~0才からのクラシック(R)~」があります(主催:Sony Music Foundation)。

─ 区民が企画した子供向けコンサートもあると聞きました。

 2013年度にスタートした区民企画事業から「フィリア・ジュニア合唱団コンサート」が生まれました。この地域は歌うことが好きなお子様が多くて、毎年一定数の新メンバーが入ってきます。

 合唱団は青葉区周辺の小中学生50人で構成され、年に一回開催される定期コンサートではオーケストラとの共演も実現しました。今年は県立川和高校の室内楽部の皆さんと共演 しました。その他にも、最近はアウトリーチ(地域社会での出張コンサート)活動など、合唱団の活躍の場が増えています。

 区民企画委員との協働ではもうひとつ、音楽家を目指す地元の若い芽を伸ばそうという思いから生まれた「未来にはばたくドリームコンサート」があります。今年はオーディションで選ばれた小学5年と6年の若きヴァイオリニストが、読売日本交響楽団の首席メンバーと共演 しました。2018年度からは名前が変わり、ホール主催公演としてよりパワーアップして開催予定です。

─ 「区民サポーター」を募集していますが、これは何をするんですか?

 より多くの地域の方々に音楽とかかわっていただける機会を増やしたいと考えていまして、フィリアホール主催・共催公演のチラシ発送業務や当日の運営などをお手伝いいただく、区民サポーターを募集 しています。サポーターの皆様には事前にレセプショニスト研修を受講していただく予定で、そういったスキルを身に付けられるのもフィリアホールの区民サポーターの特長です。

─ 運営の舞台裏を経験すると、また違ったコンサートの楽しみ方ができそうですね!

【インタビュー(全3回)】コンサートプランナーに聞く
第2回 クラシック音楽との出会い
最終回 フィリアホールのこれからの役割
柏木 由美子

かしわぎゆみこ(編集長)
システムエンジニアを経て技術書籍や企業Webサイトの制作に従事。その後フリーランスに転向し、現在は兼業主婦としてIT企業を中心に取材・執筆を行う。地域活動として現在、通所介護(デイサービス)でのボランティアや、身近な自然をフィールドとしたイベントを企画運営する「かわもりあおば」、および定年退職後の地域参加をサポートする 「ボーイズクラブ」に参加。


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