【イベントレポート】自分の当たり前をアップデートするシリーズ 2時限目「代々続く農家さんと美味しい野菜の世界」
「プロはどんな思考をしているのだろう?」
「プロの作品の背景にはどんな知識があるのだろう?」
「どんなプロセスで仕事をしているのだろう?」
スパイスアップ編集部のメンバーを中心にした、自らのセンスを磨く知識集積のためのシリーズです。
メンバーのほか、畑を始めた方、これから畑を始めたい方、野菜ソムリエ、議員さんも参加してくださり、私たちが拠点とする寺家ふるさと村「里のengawa」のハナレで開催しました。
今回のゲストは、鈴木清友農園の鈴木立耶さん。鈴木さんは、6年前に福祉の業界から転身し、ご先祖が営んできた農業の29代目になりました。ご先祖が横浜市青葉区恩田町に来たのは今から約720年も前とのこと。現在、近くの「こどもの国」からもらう牛糞と馬糞を堆肥にし、また農薬を使わず年間40-50種類の野菜や果物を栽培。ご親戚と一緒に安心安全な食を地域の方々に届けています。
鈴木さんからは、「良い土とは」「肥料の特徴と選び方」に始まり、これからの季節に楽しめる野菜、鈴木清友農園で作っている珍しい野菜とそれぞれの食べ方、お店で野菜を買うときの選び方まで、丁寧に紹介していただきました。
参加者との話し合いでは、実に様々な質問が飛び出しました。堆肥の作り方や撒き方から、害虫対策といった具体的な畑作の話、実際にGoogleマップで畑や周辺の様子を見ながらの環境の話、恩田に鈴木姓が多い話などなど。
また、堆肥の資源循環や種苗法の下での自家採種の話から、ウクライナ情勢による肥料の高騰や世界的な脱炭素移行による原油高にも話が及び、「食」が国の安全保障にも関わる重要課題であることを考えるシーンも。鈴木清友農園さんが、市場価格の乱高下に左右されることなく自ら設定した価格で販売できる理由も分かりました。
鈴木さんはお話の最後で、「代々受け継がれてきた”損して得を得る”の精神で、地域や関わってくれる方々とつながりながら農業を続けていきたい」とおっしゃいました。私は、身近に「農」があること、農作物を直接得られることのありがたさを、震災やコロナで感じてきました。鈴木清友農園さんをはじめ、青葉区には地域でがんばってくださっている農家さんがたくさんいらっしゃいます。消費者側からも応援し、いい循環が生まれてくればいいなと思いますし、スパイスアップや萬駄屋でも引き続き伝えていきます。
SNSも積極的に活用している鈴木さんは、「農家が元気になれば日本はもっと元気になる!」との思いで「モテビト農家育成プロジェクト」にも参加。全国の農家さんともつながりながら美味しい野菜を多くの方に届けようとしています。ぜひこちらもお読みください。
2時間という短い時間でしたが、自らの“枠”を外し、自分とは分野の異なるプロの話を聞いて自分の常識をアップデートしていく。── 参加者一人ひとりのそんな機会をこれからもつくっていきます。