【イベントレポート】青葉区地域自立支援協議会がアートフォーラムあざみ野でドキュメンタリー『普通に生きる』上映会
2021年12月26日(土)、アートフォーラムあざみ野 で「映画『普通に生きる~自立をめざして~』上映会と青葉区の暮らし報告会」が開催されました。青葉区地域自立支援協議会が主催する本イベントは、昨年度初めて青葉公会堂で開催され、「一人でも多くの方に知ってもらいたい」という当事者の方々や支援団体の思いから今年度も開催されました。私は2年前から同協議会に入り、本イベントには当日スタッフとして参加しました。
映画「普通に生きる」は、重い障害を持った我が子と地域の中で生きるために親御さんたちがゼロから立ち上げた、重症心身障害児の日中活動の拠点「でら~と」(静岡県富士市)に関わる人々に密着したドキュメンタリー映画です。
今回はなんと、監督の貞末麻哉子(さだすえまやこ)さんが舞台挨拶に来てくださり、撮影時の出演者との交流や撮影を通して感じたことをお話くださいました。
映画の中で、重い障害の子供が生まれて「教師の仕事をやめざるを得なかった」お母さんが出てきます。これについて貞末監督は「人ひとりの職を奪うことは社会にとっても大きな損失」と話しました。また、でら~とのおかげで昼間は料理店を営んでいるお母さんのエピソードにも触れ、「おいしい手料理を楽しめる場、という新しい財産が地域にできた」と話した後の、下記の言葉が印象的でした。
「これらのことは、重い障害のある子供の親御さんに限らず、親の介護をしている方々にも言えることです。”障害者や高齢者は家族がみて当たり前”という考え方がまだまだ世間では根強いですが、変えていかなければいけない。この映画の撮影を通して強く感じました」(貞末麻哉子監督)
貞末監督の舞台挨拶の後は「未来の樹・あおば」から、青葉区で暮らす重い障害のある子供の家庭や学校での生活、訓練の様子、そして医療・福祉からの支援状況についての紹介がありました。家族がコロナにかかった場合のシミュレーションをしていることや、医療的ケアに必要な物資が不足した時期のことなど、緊張状態の続くコロナ禍の2年間を、実体験をもとに伝えてくれました。未来の樹・あおばは、ホームページで活動内容やご家族の思いをたくさん発信されていらっしゃるのでぜひそちらもチェックしてもらえたらと思います。
私は青葉区地域自立支援協議会に参加するようになって、「普通」について考えるようになりました。
私たちは重症心身障害児や医療的ケア児、そして彼らのご家族と、地域の中で触れ合うことがありません。それは普通なんでしょうか。
移動に車椅子が必要な人にとって、車椅子はごく普通のことですが、周りの人から特別なことのように見られることがあります。それは普通じゃないんでしょうか。
青葉区のまちは住みやすい街ランキングによく登場しますが、果たして「誰にとっても」住みやすい街なんでしょうか。
などなど。
障害があっても、年をとっても、笑顔ひとつで人を元気にできることもあります。その笑顔に支えられてがんばれる人が増えたら、 そして、家族の世話や介護で自分の仕事を諦めず地域で発揮できる人が増えたら、私たちのまちはもっともっと元気に、楽しくなると思います。
この日は会場が満杯にはなりませんでしたが、それでも半数は地域住民(当事者家族や支援機関、その他・不明、以外の属性)で、関心を持つ方がいらっしゃることは大きな希望です。誰もが地域で暮らせるように、そして、貞末監督がおっしゃった「地域の財産」を増やせるように、まずはいろんな人たちと知ること・考えることから広げていけたらいいなと思います。
映画「普通に生きる ~自立をめざして~」には続編「普通に死ぬ ~いのちの自立~ 」があります。こちらも貞末監督の映画です。青葉区地域自立支援協議会では続編の上映も実現させたいと考えています。