【レポート】互いの違いを楽しみ、異なる文化を学び合うチャンス、逃しちゃもったいない! ─ 「多文化共生について考えよう」

横浜には159の国と地域から、8万人を超える外国人が住んでいるそうです。市内にいながら159の国の人から話を聞けちゃうんですよ(笑)。

緑区・都筑区・青葉区の横浜市北部3区で見ると、約9,500人。国籍別で青葉区に多いのは中国で、次いで韓国、フィリピン、米国、ベトナム。緑区も一番多いのは中国ですが、以下はインド、韓国・フィリピン、ブラジルの順。都筑区は一番が韓国で、以下は中国、フィリピン、ドイツ、インド、ベトナムと続きます。区によっても特徴があるんですね。

『青葉ラウンジニュース 2016年11月発行 No.102』より(クリックで拡大)

緑区にインド人が多いのは、2008年にインド系インターナショナルスクールが霧が丘にできたから。「IT(情報技術)立国」と言われるインドの優秀なエンジニアを横浜の企業が獲得するために、彼らの子供たちの教育環境を整えようと横浜市が誘致したインターです。

インドと言えば、数学と英語の教育水準の高さも有名ですね。以前「タモリ倶楽部」で、インドから来た人が「数字は一つひとつ個性がある」「数字は友だち」と話していました。日本で教育を受けた私からすればびっくりな話です。でもそんなことも、テレビからじゃなくて、地域の人に教えてもらえちゃうんじゃないの?地元にいながら多文化に出会えるチャンス、逃しちゃもったいない!

「国際都市横浜」なんて言われますが、市民レベルの国際化はどうでしょう。私たちは、国籍や民族、宗教、言語に関係なく、同じ市民としてコミュニケーションできているでしょうか?

青葉国際交流ラウンジ」(青葉区田奈町)が2017年1月15日(日)、たまプラーザ駅隣接のプラーザホールで「多文化共生について考えよう」と題したフォーラムを開催した背景には、私たちの街で暮らす外国人が様々な課題を抱えている現実があります。

パネルディスカッションで登壇した一人、高橋清樹さん(共学舎/NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ)は、外国から来た児童生徒に日本語教室や学校の補習授業をしています。「親の都合で日本に連れられてきた子供たち。優秀な子も多いのに、日本の学校の授業についていけなくて思うように進学や就職ができない子も多い」。グローバル人材になりえる子たちなのに、日本人が嫌がる仕事に就くしかない子も。「私たちの便利な暮らしは、彼らのおかげで成り立っている部分もある。そういうことも皆さんに知ってほしい」。

一方で、日本航空に就職したり、ベトナム難民だった子が国語の先生になったりと、高橋さんたちの教え子からロールモデルも出始めているそうです。え、なに?ベトナム人が国語を教えているの?「だって日本人も英語を教えているでしょう?」とは本人談とのこと。確かにそうだ!教え方が上手な先生、知識が豊富な英語の先生は、日本人にもいっぱいいます。何も意外じゃない。

セネガルから来たバ・アブさん(ASEEJ:在日セネガル人留学生と元留学生のアソシエーション)は、「私は日本のことを勉強したくて来ました。だから私は日本が住みにくいとは思いません。知らないことは私が勉強していけばいいこと。ボランティアもどんどんやりたい」と言います。でもチャンスは多くないのが実情です。「あなたは外国人だから(言ってもムダだし)」「外国人のすることは(理解できない)」と、決めつけられることも多いそうです。

「セネガルでは、人生はすなわち、船で海を渡ること。船の上ではみんなで協力しないと海を渡れません」。建国の経緯から、セネガル人はこうした考え方だそうです。セネガルと言えば、多くの人は首都「ダカール」に聞き覚えがある程度でしょうか。でもアブさんから話を聞いてみると、共感ポイントはけっこうありそうですよ。

インド人コミュニティのある緑区霧が丘に暮らす川崎孝征さん(KIC:霧が丘インターナショナルコミュニティ)は、最初は彼らとの距離を感じていたそうです。けれども話をしてみたら彼らも交流したがっていると分かり、今ではインドと日本の行事や食事を一緒に楽しんだりして、顔の見える関係づくりに取り組んでいます。顔が見えていれば、地域のトラブルも減らすことにもつながりますね。

「ピアノや空手を習いたいと言っている子もいますが、私たちのネットワークにはなくて」とのこと。青葉台あたりで、受け入れてくれる教室はないですかねー?

山本桂子さん(生活情報ネットあ・つ・み)は、外国人市民の皆さん向けに、区の広報の一部を「やさしい日本語」に書き直した情報紙「わたしのまち」を2003年から発行しています。健康や子育て、各種行政サービスなど、生活に直結する情報を得るのが難しい外国人にとって、「わたしのまち」は貴重な情報源です。

「やさしい日本語」は、1995年に起こった阪神淡路大震災の経験から、災害時に適切な行動がとれるようにと考案されました。買い物をしたりバスに乗ったりできる程度の日本語でつくられていて、作成ルールはインターネットで公開されています。ポスターを作るときの注意点も紹介されているので、地域でイベントのチラシを作る時にも役立ちますよ。

今回のパネリストの皆さんのように、多文化共生を目指し、それぞれに目的を持って懸命に取り組むボランティアが私たちの地域にいます。しかし皆さん、そろって人手不足だそうです。もっと多くの人が活動を知って、協力者が増えるといいですね。そして、活動までいかなくても、関心を持って接することを、みんなが少しずつでも始めていければ。

このフォーラムではなんと、ラジオやテレビのパーソナリティとしておなじみのジョン・カビラさんの講演もありました。カビラさんは、日本占領下の台湾に生まれたお父さんと、米カンザス州生まれのお母さんの間に沖縄で生まれ、沖縄返還の年に東京へ。しかも、仕事では外国人アーティストと接してきました。場所や人によって評価が180度違う経験もたくさんする中で、「自分をしっかり持っていないといけない」と思うと同時に、「こんなに違うんだから逆に違いを楽しんじゃえ」と思うようになったそうです。

「隣にインドの人がいたら、『食べ物が違うのは面倒くさい』『宗教よく分かんない』と諦めないで、おいしいカレーの作り方を教えてもらったほうが得ですよね」。互いの慣習を披露しあって、楽しむ。そういうご当地バラエティ番組、ありますね。それと同じことを地域で、自分たちでやっちゃえばいいわけです。

「僕はいつも『はざま』にいるので、何人(なにじん)なの?と聞かれます。でも、何人か、よりも、僕は僕であり、あなたはあなた。機能面のベーシックなルールを互いに理解したうえで、人としてリスペクトしあう。そうすれば、みんな生きやすいですよね 」

日本の人口、特に労働力人口が減り続ける一方で、在留外国人数は、最新のデータで過去最高だそうです。将来は、みんなで力を合わせなきゃ立ち行かない日が確実にやってきます。それはすでにいろいろな産業で起こっています。私たちの地域でも今からぜひ進めていきましょう。まずは知ること、楽しむことから。

外国人のための生活情報は、本フォーラムの主催者「NPO法人横浜青葉国際交流の会」が運営する「横浜市青葉国際交流ラウンジ」で提供しているので、ぜひ外国人の方々に教えてあげてください。またラウンジでは、外国人向けのみだけでなく「外国語を学びたい」「外国の文化に触れたい」人たちに向けのイベントも随時開催されていますよ。どんどん活用していきましょう!

写真提供:NPO法人横浜青葉国際交流の会
柏木 由美子

柏木 由美子

かしわぎゆみこ(編集長) システムエンジニアを経て技術書籍や企業Webサイトの制作に従事。その後フリーランスに転向し、現在は兼業主婦としてIT企業を中心に取材・執筆を行う。地域活動として現在、通所介護(デイサービス)でのボランティアや、横浜市青葉区区民企画運営講座 「あおば川ガール森ガールになろう!」および定年退職後の地域参加をサポートする 「ボーイズクラブ」に参加。

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