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人物図鑑

【人物図鑑 04】新谷竜輔さん – 音楽で街をみたすディレクター

久保田誉子
◆コーヒーの香りが繋ぐおはなし

雨降りの木曜日午後、ご自宅一階のお仕事場にうかがいました。今回は LEAD(リード) ガーデニング・エクステリア の安生敏弘さんからのご紹介、コーヒーのスペシャリストとして本格的な知識と技能を身に付けたコーヒーコーディネーターの顔も持つ 株式会社セミ・チャームドライフ・アソシエイツ の新谷竜輔(しんや りゅうすけ)さんです。地域のさまざまなコーヒー豆業社から豆を買いつけて、その日、訪問者に合わせたブレンドでおもてなしをなさるそう。目の前で淹れてくださったのは、コロンビアベースでニカラグアとケニアをかくし味に調合したブレンドコーヒー。コーヒーの香りは一気にその場を和やかにするチカラがあるのですね。いい香りに包まれてお話しが進みます。
  

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j0401たくさんのCDや書類ケースなど、きちんと収まる寸法を計算して作られた本棚。竹のモチーフ、照明の光で陰影がはっきりと見えてくる織りの壁紙。打ち合わせ用の丸いテーブル。選ばれたアイテムがセンス良く配置され、スッキリと整えられた空間は英知豊かな基地のようでした。
 

イベントのプロデュース、音楽ソフト制作、登山家として登山アイテムの開発に関わるなど、さまざまな業種で活躍されてきた経歴をお持ちの新谷さんですが、商社に勤務され、アフガン戦争の前線拠点にいらっしゃった時期がありました。戦闘地域で起こる悲しみや日々のささやかな喜びの表現として、歌い奏でる音楽がある。その土地で暮らす人々の生活に音楽は密着している、そんな体験をされたそう。
 

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戦火から自分たちの街を守り、家族を護り癒すことの大切さ。幼少の頃からバイオリンに親しみ、学生時代にバンドを組んで活動し音楽を発信する経験を持つ新谷さんにとって、改めて音楽の持つチカラを感じる経験だったに違いありません。帰国後会社を辞め、ご家族と暮らしていく場所として選ばれたのが、学生時代に暮らしていた田園都市線沿線の青葉台。そこで新たに就かれたのは宅配便配達のお仕事です。
 

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◇宅配便会社勤務時代の新谷さん

 

『地域のことが一番よくわかるからですよ。この街のお店に、お宅に、どんな方がいるのか。街をよく知るにはこの仕事しかないと思いました。』今までの就労経験を手放して、別の仕事に就くことは大変な覚悟が必要なのでは?と感じますが、新谷さんはサラッとおっしゃいます。
 

「街を知る」ために踏み出したその一歩が、桜台にある眼鏡専門店『ヤマセングラスワークス』の堀部伸夫さんの目に留まるのに時間はかかりませんでした(注:堀部さんはスパイスアップ2015年秋号の「人物図鑑 01」にご登場いただいています。Web版はもう少しお待ちくださいね)。堀部さんをはじめ、Mr.青葉台の方々との出会いが新しいプロジェクトを始動していきました。
 

◆青葉台で手掛ける、小さなお店の音楽ライブ企画「namaoto」

 
相手の懐に飛び込んでしまうような人懐っこい笑顔と精悍な顔立ち。大切な荷物を届けてくれる人が、街の人たちから信頼を得て、街や商店を盛り上げていく活動のメンバーとなっていくのは必定ですね。子どもをこの地域で育てたい。その地元で子どもがライブを聴ける企画として2011年から始まった「namaoto(ナマオト)」の通算開催数は150回を越えています。
 

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◇ベーカリーカフェ COPPET さんでの namaoto

  

青葉台の『ベーカリーカフェ COPPET(コペ)』さんでは美味しいパンを食べながら聴くライブ。そして『ガーデニング・エクステリア LEAD(リード)』あざみ野店さんでは天井の高さを生かしたライブを展開。皆さんがよくお買い物をする商店や食事をするお店が会場となり、音楽の発信基地になっています。音楽と味覚も融合させてしまう「音育(おといく)」。新谷さんご自身の想いと、街を支え、盛り上げてきたメンバーがタッグを組んでホンモノの音を届けてくれるライブです。
 

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『色々な人たちをつなげていく、接着剤の役目をしていきたいんですよね。関わっている人たちに最大限のチカラを発揮してもらうこと。そして、そこで暮らす人やイベントを運営している人たちにスポットを当てていくことが大切なんです。』新谷さんの柔らかな表情からは、アイディアに満ちあふれていらっしゃる様子が感じられました。そのイベントや関わっている方々のお仕事の価値も高めていく。多世代・多業種が共通して愉しめる「音楽」を仕掛けるプロの顔がありました。
 

二階のリビングに案内していただくと、そこには桜台にある木の家具の専門店『ウッディーハート』さんにオーダーされた座面の広い長椅子やダイニングテーブル、お子さん用の小さく温もりのある椅子がありました。グローバルに考えてローカルに行動する。街にある素敵なものを大切に使って生活していく。暮らしと、仕事。本気でここに暮らしていく、決意のようなものも感じた時間でした。お話しを終えて外に出ると、かなり降っていた雨は小止みになっていました。
 

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(この記事内の数値データ、組織名、役職名、製品・サービス内容等は、取材時の情報です。)

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久保田 誉子
久保田 誉子
婦人服デザイナー・MD・バイヤーとして勤務の後、PHP認定ビジネスコーチとなりファッション業界を目指す学生たちの就職支援に従事。現在は学校地域コーディネーター・服育講座講師など、様々な相談に乗る聞き役キャラ。音声配信で声の魅力も売り出し中。
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