【レポート】どうする?こどもの将来 ─ パパママのための障害者就労勉強会

2018年7月7日(土)、横浜市たまプラーザ地域ケアプラザ にて、障害をもつ子供の将来について考える「パパママのための障害者就労勉強会」が開催され、スパイスアップ編集部は主催者の一員として、チラシ制作や申し込み受付、広報、運営サポートで協力しました。

この講座は、障害児の親たちの声から生まれ、彼らが企画運営した講座です。親の目線で情報を提供し、また参加者同士が話し合う機会を設けることで、自ら抱える不安や疑問を共有するとともに、子供の将来の可能性を拡げるためにどうしたらいいかを考える ── そんな講座に育てていきたいという思いで準備してきた勉強会でした。

当日の会場には45人が集まり、中には支援者、地域住民もいましたが、その多くはパパママでした。そのうち3分の1以上は男性。あえて土曜日に開催した甲斐がありました(笑)。「普段は妻に子供の世話を任せっきりで、今回妻に誘われて初めてこういう場に来た」といった方も多かったようです。

勉強会の進行役はダウン症児のパパママ二人で、これもまたこの勉強会の“らしい”ところです。前半は、知的障害児のパパである藤岡住世さん(NPO法人エキープ 代表)の講演。藤岡さんは35年働いた一般企業を2年前に退職し、障害者就労事業所の設立を目指して障害者就労の現場視察や地域交流に取り組んでいます。講演では、例えば養護学校ごとの就職率や作業所の工賃など、実際の数字を用いた説明に加え、数字からは読み取れない現実も紹介されました。参加者の中には「初めて知った」という方が多く、随所で熱心にメモをとる姿が多く見られました。

しかし藤岡さんが提示した情報は、どれもネット上で公開されているもの。それでも皆さん知らないのは、「情報が公開されていることや情報源を知らない」ということもあると思いますが、やはり藤岡さんが実際に足を運んで見聞きしてきたことをベースに情報を編集し、かつ親の立場で情報が整理されているので、皆さんがのみ込みやすかったのではと私は思います。この点でも、行政や支援者ではなく、親同士の学び合いとなる勉強会の意義が大いにあったと感じます。

さて、パパママが勉強している間、2つの保育室では障害を持つ子とその兄弟、0歳児から中学生までの20人近い子供が一緒に時間を過ごしていました。

主催した私たちは「パパママそろって勉強会に来てもらいたいね」と考え、企画当初から預かり保育を考えていました。しかし2時間半という長丁場。子供たちが親と離れて不安に感じることなく過ごすにはどうすればいいか考えていた時、主催者のひとつである「NPO法人アロハグレイス」さんから、「子供たちにダンスを体験してもらって、その成果を勉強会の終わりにパパとママに披露しよう」という提案がありました。なんて素敵なサプライズ!もちろん一堂大賛成でした。

ただ、乳児や、ダンスに興味のない子もいるはず。そこで、アロハグレイスさんと同じく障害のある子供にもレッスンしている「ベビママユーリトミックス」さん、そして共催者のひとつ「プチひまわり」(ダウン症児の親子サークル)さんが日ごろお世話になっている上谷本地区社協の保育ボランティアの皆さん、田園調布学園大学の学生の皆さんにもお願いし、総勢13人に保育室をお任せすることにしたのでした。

最初にリトミックで体を動かし、子供たちの緊張が解けたところでフラダンスへ。さっそく古村さんの動きを真似て楽しそうにポーズをとり始めています。お披露目タイムが楽しみです。

さて、勉強会は後半のワークショップへ。6つのグループに分かれ、藤岡さんの話の感想や、日ごろ抱えている不安、「こうすれば解決するのでは?」というアイデアなどを共有してもらいました。始まるなり、まるで堰を切ったように活発な話し合い。皆さん、いろんな気持ちや考えを自分の中に持っていたようです。

「こういう勉強会は初めてだった」という声が事後アンケートで多く寄せられました。同じような体験を重ね、同じ思いを抱いてきた皆さんなのに、対話の機会は多くなかったようです。他にも「顔を合わせ、現場に行くことの重要性を感じた」という声があり、この勉強会を機に自ら行動を起こすパパママが増えてくれたら、これほどうれしいことはありません。

グループで話し合った内容は、模造紙に整理してグループ発表してもらいました。これまであまり子育てにタッチしてこなかった男性が発表者として名乗りを上げると、女性陣から拍手。パパの名誉挽回です(笑)。

各テーブルで話題になったのは、現在通っている学校のこと、将来の学校の選び方、就職先での不安。さらには、兄弟児や親亡き後のことも。しかしどのグループにも共通しているのは、「情報の少なさ」です。子供の将来を考えるうえで必要な情報に、皆さん届いていなかった現実を実感したよう。「もっと情報が欲しい」「こうした勉強会に今後も出たい」という声が多く上がりました。

勉強会の後に「Mom’s Dining」で開催した懇親会でも皆さんの情報交換は続きましたが、こちらは笑顔の多いものに。「うちの子のマイブームがね、……」といった他愛のない会話で盛り上がったり、男性陣で集まって何やら話をしたり、和やかな時間でした。ぜひ次回以降、懇親会にも多くの方に参加してもらいたいなと思います。

── 子供の障害は一人ひとり違い、親の知識や考え方も千差万別。それは健常者とまったく同じです。ですから、一人ひとりにあったお話は、こうした勉強会では難しいものです。私たちができるのは、こと細かな情報を提供することではなく、実際に見聞きした障害者就労にまつわる状況を伝え、みんなで体験・意見を語り合い、自らの行動のヒントにしてもらうこと。周囲のいろいろな未確認情報に惑わされず、我が子の将来に向かって選択していってもらうこと。そして、この活動に関わる親や支援者を増やして多様な考えを共有してもらうこと。── そのためにはこの輪を広げつつ、勉強会、あるいは現地見学会を今後展開していければと、私たちは考えています。

当サイトのコラム「地域で生きていくために」の最終回で、松波さんが「我が子が歩んでいく先にある障害を取り払うべく、地域のみなさんと共に歩んでいきたい」と語っているように、まさしくそのお手伝いに少しでもなれば。

おっと、ダンスのお披露目タイムもご報告せねば。「パイナップルプリンセス」、みんな上手に踊れましたよ!

かわいいプリンス、プリンセスたちのダンスに目を細め、拍手を送るパパママ。アロハグレイスの古村理恵さんは開催前、「子供たちのがんばった姿を、そしてがんばればできることを親御さんたちに見てもらいたい」と語っていました。1時間でダンスを踊れるようになった子供たちの可能性を、パパママも感じてくれたことと思います。「うちの子も連れてくればよかったー」と残念がる方もいました(笑)。

また、今回は参加者・お子さん・スタッフへのおみやげとしてNPO法人えだ福祉ホーム「キッチンわかば(就労継続支援B型事業)」の手作りクッキーをお配りしました。100個近い大口注文にもかかわらず二つ返事で引き受けてくださり感謝!スパイスアップのセミナーでも以前配って好評だったので、今回もきっと皆さんおいしく召し上がってくださったのではと思います。キッチンわかばの皆さん、ご対応ありがとうございました!


今後の予定については、勉強会の参加者で「情報を希望する」とした方々へはメールでお知らせします。参加していない方でご希望の方は、下記よりご登録ください
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柏木 由美子

かしわぎゆみこ(編集長)
システムエンジニアを経て技術書籍や企業Webサイトの制作に従事。その後フリーランスに転向し、現在は兼業主婦としてIT企業を中心に取材・執筆を行う。地域活動として現在、通所介護(デイサービス)でのボランティアや、身近な自然をフィールドとしたイベントを企画運営する「かわもりあおば」、および定年退職後の地域参加をサポートする 「ボーイズクラブ」に参加。


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