地域で生きていくために

【パパコラム:地域で生きていくために 04】学校 ─ みんなとがんばれるから

<はじめに>

みなさん、「ダウン症」ってご存知でしょうか。なんとなく顔つきが似ていて、知能の発達が通常ではないな、というのが多くのイメージではないでしょうか。さらに読む

第4章 学校

“あや”は前回までの通り、知的発達の点ではまだまだです。

とはいうものの記憶力はなかなかで、トランプ遊び好きなあやと神経衰弱ゲームをやると接戦を繰り広げ、僕が負けたりする時もあります(まあ、自分が多分に苦手なこともありますが…(涙))。

話がそれましたが、知的な部分と比べると、運動能力は健常な子と比べて、遅いもののそこそこかな、というレベルです。小さな頃から体を動かすことが大好きで、5歳の時にダウン症児だけのダンススクールに入会しました。毎週日曜日、気分が乗っているときは結構カッコ良く踊ります(気分が乗らない時は、たちの悪いストライキを起こしますが(笑))。

年に1回、発表会を兼ねて中野サンプラザでライブも行なわれます。チケットは一般販売されますので、ぜひ見に来てもらえると嬉しいです。あの歳で中野サンプラザの舞台でダンスとは、なんともうらやましい…。

前回のライブのポスター。
(主催:株式会社ターボックス/)

運動好きのあやにとって、保育園、小学校の運動会は誕生日会とともに大興奮な一日です。私たちもそれを知っているので、家族であやの“闇トレ”につきあいます。かけっこ、玉入れ、ダンス、組体操などなど(結構ハードなので、パパママともまだまだ老いぼれちゃいられない!)。

ただ、やっぱり先生を始め、いろいろな方の協力は必須です。保育園の先生は本当によく考えてくれて、「リレーに出してあげたい、でもスピードが周囲と違う」という問題に対して、あやを1走目にし、通常1周走るところを半周にしようと提案。周りの園児も協力してくれ、赤白対決はいい勝負になりました。

もっとも、あやの赤チームは負けてしまい、みんなが落胆している中、白チームが万歳して喜んでいる姿を見てあやはわけも分からずかひとり万歳をして喜んでしまい、ちょっと気まずい空気が流れました(笑)。

小学校の運動会では、地域の方に支援してもらいながら、みんなと同じ種目をこなしてきました。徒競走はどうなることかと、いつも冷や冷やでしたが、あやなりの激走が観客の皆さんの感動を呼びます。やっぱり100メートル走くらいになると差は開いてしまいますが、ある意味独走している感もあり、たくさんの声援をもらえ、あやも嬉しそうに激走するのです。

小学校最後の運動会では、ずっとやりたかった応援団に、先生の計らいで一部参加させてもらいました。あやは6年間、自分の部屋で周囲の迷惑を考えず、勝手に体操服に着替えてベッドの上で「フレーッ!フレーッ!あーかーぐーみぃーっ!」と大声を張り上げ練習してきた成果を、思う存分発揮していました。

ひとつだけ、組体操で周りについていけず逆に目立ってしまったとことがありました。でもこれは、あやに組体操の中での動きを分かりやすく指導してもらうことでクリアできたと思うので、次年度以降に活かしてもらえたらなと思います。

6年生までの運動会はいろいろありましたが、あやなりに真剣に、なおかつ本当にその時間を楽しみ、それがものすごくあやの今の成長につながっているなと感じています。
 

僕の思うこと。あやの思うこと。

あやは公立小学校に通っているので、養護学校とは違い、通学の送迎バスなどはありません。体を動かすのが好きとは言え、あやの足で25分の道のり。結構な坂もあり、交通量もある通学路を独りで、というのは、残念ながら不可能です。妻が毎日付き添わなければならないというのが現実です。6年生になってもぐずることはしばしばで、かなりの重労働です。

こういった通学困難者のために「ガイドボランティア」という制度があります。これは、地域の方の登録があると、通学の手伝いをしてもらえるというものです。

○横浜市ガイドボランティア事業
 http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/shogai/gaishutsu/shien/shokai.html

ただ、制度はあるものの自分で人を探して登録をお願いして、ということでなかなか難しい制度です。あやは周囲に恵まれていて、同じマンション内の友人・知人の何人かが登録をしてくれ、何とかやっています。妻の付き添いは避けられないのですが、ガイドの方がいてくれると、あやはもちろん、妻の気持ちもだいぶ楽になっています。

毎日の通学への付き添いというのは想像以上に大変なもので、ガイドの方がいなければ送迎制度のない公立小学校には通えませんでした。心からガイドの方々には感謝です。ただ、うちの場合は、周りの方々に恵まれていたからガイド制度を利用できましたが、一般的にはこの制度は普及されているとは思えないので、通学の壁を感じている障害児の親は多いのではと思います。

もし、朝の時間がとれる方がいらっしゃれば、区の社会福祉協議会などで登録できるのでぜひお願いします。子供の通う学校の選択肢が広くなり、結果、その子の将来につながります!!

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ABOUT ME
松波 直樹
S44年12月生まれの47歳。出身は東京都国立市。現在、妻・長女(中2)・次女(小6)の4人で横浜市青葉区に在住。都内大学を出て、保険会社に入社し、埼玉、千葉、仙台、東京と転勤し、現在は横浜の支店に勤務。学生時代はラグビーや競技スキーをしていたものの、仕事の忙しさを言い訳に、社会人になってからはだいぶ不健康人間に。ロンドン五輪で村田選手が金メダルを獲ったことに感動して、ジムで週1回キックボクシングを始めて、気分はなんちゃってボクサーになっています。