<はじめに>

私は横浜市青葉区で発達に課題を抱えている人たちのための 学習センター を運営しています。[さらに読む]

ある日のこと、発達障害と診断された中学生が「ラーメン好き?」と質問してきました。

好きだと答えると、

「具のないラーメンがある店、知ってる?」

とさらに質問してきました。

訳を聞くと、ラーメンは大好きだけれど具が食べられないのだそうです。一人でラーメン店へ行って「ラーメンを具なしで」と注文したら、店主に怒鳴られたことがあったので、最初から具のないラーメンを出す店を探しているのだとか。

チャーシューやメンマなどの具が嫌いなわけではなく、麺との食感や見た目が嫌だと言っていました。麺だけなら大丈夫なのです。

その話を聞いた時、感覚過敏が影響しているのかなと思いました。

発達障害の人は「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」といった感覚が過敏だったり、逆に鈍麻だったりすることが多いです。

私は濃い色の無地の服しか着ません。視覚に感覚過敏のある人には、明るい色の服や柄のある服は眩しく見えたり、気分が悪くなることがあるからです(逆に、暗い色が苦手な人もいるかもしれませんが)。本が眩しく感じたりして、読めないという人もいます。

聴覚過敏の生徒さんも経験しました。目の前にいる私の声と窓の外の騒音が、全く同じレベルに聞こえるのだそうです。学校でも、教室の隅でひそひそ話をしている友達の声がまる聞こえで、気になって仕方ないとも言っていました。聞いてはいけないことを聞いてしまったように感じ、罪悪感につながることもあるそうです。

また、遠くで鳴っている救急車のサイレンがうるさく聞こえ、手で耳を塞ぎ机に突っ伏してしまうことがあるという生徒さんもいました。他の人には気にならない、あるいは聞こえないくらいの音なので、周りの人は「突然どうした?」ということになるわけです。

手のひらの感覚が過敏すぎて鉛筆が持てないという人もいました。当然、書字に影響が出てきますし、その他の細かい作業も苦手になります。食事の際に食べこぼすことも多いかもしれません。

触覚の過敏さは手のひらだけではありません。雨粒や風が当たると痛いので、天気の悪い日は学校や会社に行きたくない、洋服のタグが痛い、締め付けが嫌なのですぐに脱ぎたくなる、などということも聞いたことがあります。

このように、日常生活での不具合や学習の困難さの原因の多くは感覚刺激に対する過敏から生じていると言っても過言ではありません。ということは、感覚刺激を低減する道具や環境を整えれば、問題の多くは解決する可能性があります。

例えば、
– 聴覚過敏の人には、学校や職場で耳栓の利用を考慮する
– 視覚過敏の人には、サングラス着用を認める

このようなことを、ぜひ考慮してあげてください。

また、「続 自閉っ子、こういう風にできてます! ─ 自立のための身体づくり」(岩永竜一郎×藤家寛子×ニキ・リンコ 著)という本に書かれていますが、首都圏の電車には必ず弱冷房車があります。冷房に過敏な人がいるので、弱冷房車があるのです。

このように、人それぞれ感覚の感じ方に違いがあることを想像することも、大切だと思っています。
 

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天田 武志

天田 武志

あまだたけし(ライター) 薬品メーカーの研究員として、技術開発、基礎研究、製品開発などに従事する。その業務の傍ら、心と学習の関係や、身体の動きと発達の関連などの学びと研究を続け、”身体の動きを通して学ぶ力を育てる”をモットーに ラーニングクエスト学習センター を設立。発達につまずきのある子供たちを中心に学習支援を行なっている。2011年よりフォイヤーシュタインプログラムのトレーニングを開始。 現在までに、Feuerstein Institute認定 FIE Mediator、Feuerstein Institute認定FIE Basic Mediator、Feuerstein Institute認定 FIE Tactile Mediatorを取得。その他に国際教育キネシオロジー財団認定 教育コンサルタント、国際教育キネシオロジー財団認定 ブレインジムインストラクター、ブロムベリ・リズムミックムーブメント・トレーンング インストラクター。

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