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【会員の活動紹介】認知症になっても暮らしやすいあざみ野に

柏木由美子
(写真: あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト Facebookページより)

東急田園都市線と横浜市営地下鉄が乗り入れるあざみ野(横浜市青葉区)は、東京や横浜の中心へのアクセスが良く、あざみ野駅は両線で1日平均21万人以上(2019年度)が乗降するターミナル駅。関西からの転勤族も多く、若い人にも人気の街です。

そんなあざみ野に、50年以上(あざみ野駅ができる前から!)も地域の暮らしやビジネスを不動産業で支えてきた 嶮山開発株式会社 があります。同社の 根岸里香 さんは、保育士・介護福祉士・ケアマネージャーの資格を持ち、静岡の福祉の現場で働いてきた人。不動産業を通してあざみ野のまちが抱える複雑な課題を目の当たりにし、「自分に何かできないか」と行動を始めます。区の生涯学習講座を受講して自らもコミュニティカフェをテーマにした講座を企画運営したり、ソーシャルビジネスを学んだりしながら、地域福祉やまちづくりのネットワークを広げていきました。

そして、 地域の困りごとを話し合う住民主体の「まちの相談所ネットワーク」に参加してからは、嶮山開発のオフィス内に「まちの相談所」を立ち上げて訪れる方の困りごとに耳を傾け、時には行政サービスと連携しながら、その方が安心して暮らせる環境づくりにも取り組んできました。

私も根岸さんとはいろいろな場所で一緒になり、会うたびに情報交換しながら、互いの思いを共有してきましたが、彼女の活動の根本には「顔の見える」「誰でも」という考え方がいつもあります。

あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト」は、自治会や商店街、福祉施設が一緒になって高齢者の暮らしやすい街づくりに取り組んでいる事例を知った根岸さんが、前述の「まちの相談所ネットワーク」の定例会で「あざみ野でやりたい」と思いを語ったことが発端です。彼女の提案にすぐさまあざみ野の他のメンバーも共感。持ち前のネットワークを生かして声を掛け合い、大学や病院、さらには当事者を支援する福祉事業所も加わり、会議の場を設けるたびに輪が大きくなっていきました。

(写真: あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト Facebookページより)

公式Webサイトでイベントや活動の様子が詳しく紹介されています。

あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト
https://sites.google.com/view/8341azamino/

いっぱいいっぱい吸収してきた根岸さんが、やさしい街あざみ野実行委員会の実行委員長として、思いをどんどん発信するようになりました。最近は、会うといつも周囲への感謝の気持ちを口にしています。

(写真: あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト Facebookページより)

思いが伝播することで大きな力になる ── 根岸さんはいま、それを実感していると思います。けれども、「思い」だけではなく、彼女が福祉の現場で得たスキルや経験の蓄積があったからこそ、そして、足繁く地域課題の現場を見てきたからこそ、説得力をもって周囲に伝わっているのだとも思います。

(写真: あざみ野・認知症の人にやさしい街プロジェクト Facebookページより)

2020年9月に活動が始まり、翌2021年3月に実行委員会が設立。認知症に関する意識調査や、認知症サポーター養成講座、キャドルワークショップ、さらには自社の事業を生かしたフットサル大会や茶話会など、実行委員会のメンバーがそれぞれのフィールドを生かして次々とイベントが開催されています。キャドルワークショップでつくられたキャンドルを飾っている施設や店舗はすでに40カ所以上にもなります。

アルツハイマー月間でもある同9月にはさらにたくさんのイベントが予定されていますが、イベントはあくまで手段。福祉やまちづくりにかかわる主体だけでなく、住民の共助が当たり前になるまちが根岸さんの願いです。もちろん高齢者に限ったことではなく、子育て世帯も、障害児・者のいる家庭も。

「住みやすい街・あざみ野」が「”誰もが”住みやすい街・あざみ野 」に少しでもなっていけば、と活動する根岸さんのような人たちがいることが、あざみ野の一番の魅力だと私は思います。

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