【人物図鑑 06】平英樹さん – エンターテイメント型ラーメン店で、楽しい体験を仕掛ける

駅からの広い道幅に立つ街路樹は紅葉しています。藤が丘にあるオフィスにうかがいました。今回は県立元石川高等学校教諭 長島一浩さんからのご紹介で、飲食業ひとすじ30年、都内と神奈川県内に10店舗を展開する「とんこつらーめん七志」の経営者、株式会社ナナシフードサービス 代表取締役 平 英樹(たいらひでき)さんです。

藤ヶ丘のオフィスにて

◆受け継がれる商才とスポーツ精神

炭鉱採掘で有名な北海道夕張市で少年野球に熱中、中学生からは札幌の学校に進学して、体操部に所属した高校時代はバク転ができる青年でした。今ですか?今は、さすがにバク転は…(笑)」。お仕事柄、ひと月におよそ20杯のラーメンを召し上がるそうですが、スッキリスマートな体型の平さんです。

飲食業のアルバイトを始めた大学時代は、家族で食事を楽しめるお店が多数出店した、外食マーケットの伸長期でした。店内がお客様でいっぱいになる様子に「商売は楽しい」と感じたそう。ご両親が衣料品店を営む中で育った平さん。直接、お客様が必要とする物やサービスを提供する仕事に就くことは自然なことだったのかもしれません。

昔の写真を見せていただきました。青春をエンジョイされています(笑)

とんこつらーめん七志の1号店を青葉台に決めたのは、ご自宅もオフィスも青葉区内ということで土地勘があり、動きやすい場所であったことから。青葉台店で出逢われた奥さまとの間に、小学生の息子さんと、平さんもかつて熱中していた、体操部で活躍する中学生の娘さんがいらっしゃいます。

◆総料理長、店舗スタッフと共につくる七志の風土。

10店舗展開されている現在も、何か新しいことをできないかと、お客様に美味しさを楽しんでもらうために、休日も考える時間を作るとのこと。そしてそこには、ラーメン店はもちろん、フレンチや中華料理でも腕を振るった経歴を持つ、とんこつらーめん七志の総料理長さんの存在があります。平さんと同じ気持ちで20年来、共にメニューの開発をしてきた総料理長から繰り出されたメニューの中で「グリーンカレーラーメン」は、マイナビウーマンエキサイトでも紹介される話題のメニューになりました。

反面ヒットにつながらなかったメニューもあるとのこと、思い切って内容を伺ってみました。豚足・豚耳・豚タンが入った、その名も「三匹の子豚ラーメン」。リアルな見た目のインパクトは強烈でも、中華食材を贅沢に使ったラーメンは、ファンにとってはたまらない企画だったかもしれません。他店にはないような新しくて楽しいことをやる、平さんと総料理長の心意気、これからの提案も楽しみです。現在お店では「炙り味噌ラーメン」を1月中旬までの期間限定で展開中です。

終始穏やかにお話しされる平さん

「スタッフとハイタッチしたら300円トッピングサービス」という内容をお客様にメルマガ配信したところ、平さんの予想を大幅に上回るハイタッチがありました。「こんなにたくさんの方が応じてくれるなら、100円にすれば良かった(笑)」と平さん。もともと、たまプラーザ店スタッフが朝礼後、営業時間に入る時にスタッフ同士でハイタッチをする習慣からきたもので、七志の文化である「美味しく楽しく」を反映したものだそう。創業者の精神が各店舗のスタッフへ、そしてそのスタッフが中心となってお客様を巻き込み、お腹もココロも満たしていくお店作りをしていく風土があります。

(写真提供:ナンシフードサービス)

お店では、厨房でトッピング体験ができる、小学校3年生以上のお子さんを対象としたこどもラーメン教室も開催しています。まさに、エンターテイメント体験型ラーメン店です。

そして、これから取り組みたい社会貢献の一つとして、外食する機会が少ない児童養護施設の子どもたちにラーメンを食べて楽しんでもらいたいと考えているとのこと。ガラス張りのオープンキッチン形式の厨房から、また、お店のスタッフから、子どもたちはどんな驚きと、美味しい時間を受け取るのでしょうか。

◆地域や若い世代と共に。

江田の理髪店「髪工房」に通っている平さんは、店長である横浜晃治さんを通じて、当時神奈川県立田奈高校に勤務されていた教諭、長島一浩 さんと出逢いました。高校生の就業のきっかけや就労定着の支援のため、田奈高校が始めた独自の取り組みである、アルバイトとインターンシップを組み合わせた「バイターン」と呼ばれる教育的有給職業体験プログラムがあります。平さんはそれ以来、5年目になる現在も田奈高校の生徒さんの就業体験受け入れを支援しています。

「高校の生徒さんには“働くこと”に興味を持ってもらえるように“人の役に立つことを楽しくやっていくことの価値”をお話しします。例えば、トイレ掃除をしてもらうこともあるのですが、大切な人を連れ来てもいいお店にするには、トイレ掃除も必要ですよね、という風に。お客様にどう感じてもらえるか?来ていただいた時間を買っていただく。そのためにはやることがあります」

髪工房のカットモデルとしての平さん。決まってます!
(髪工房のInstagramより)

おいしいと感じたお店には大切な人を連れて行きたい。その想いを裏切らない場所作りを大切にしている平さん。企業家として、利益を上げて家族や社員を大切にしていく姿勢を見せることはもちろん、若い世代に向けて、働くことの意味を体験しながら学ぶ機会を創出しています。この活動についても、さも当たり前のことをしているだけです、といった調子で終始穏やかに話される様子が印象的でした。

これから社会人になる若い方に、メッセージをいただけませんでしょうか?とお願いしてみました。

「ここまででいいと、思わないこと。勝てる力がつくまで頑張ること。私は働く、人の役に立つということを喜びとして感じています。自分が人の役に立っていない、と思わないことですね」

おっとりと優しい雰囲気ながらも、絶対に結果を出す気持ちで動くことの大切さ、その想いの強さが伝わってきました。

とんこつらーめん七志を立ち上げるまでの10年間も、平さんは飲食業で経験を積んでいました。店の運営を任されていた時に考えていた人の働き方、お客様へのサービスのあり方、どちらも大切に考える姿勢が現在の社員やスタッフにも伝わり、新しさや楽しさを生んでいるのかもしれません。

今を楽しく。そして次の世代にその精神を伝承する、外食産業のプロが、藤が丘にいます。

平 英樹さんTwitter
https://twitter.com/nanashi_ceo


(この記事内の数値データ、組織名、役職名、製品・サービス内容等は、取材時の情報です。)

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久保田誉子

久保田誉子

くぼたたかこ(ライター) 婦人服デザイナー、MD、バイヤーとして勤務の後、ファッション業界を目指す学生たちの就職支援に従事。2013年、横浜市青葉区区民企画運営講座「AOBA素敵ウォーキングコレクション」の運営委員となり、現在も地域活動として企画運営に参加している。

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