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コロナ禍で子供の学びを止めないために─理科実験でYouTuber体験!

2020年7月26日、青葉台地域ケアプラザでNPO法人あおば学校支援ネットワーク「みんなの学校プロジェクト」主催の「YouTuber体験教室」が開催され、午前と午後に分かれて15人ずつの小学生が動画撮影に挑戦しました。


子供たちが体験の“場”に出てくる機会を

NPO法人あおば学校支援ネットワークは、学校の活動に関わるボランティアをコーディネートしているほか、学校の外でも、多世代でお化け屋敷を製作・運営する「青葉おばけやしきプロジェクト」をはじめ、キャンプや工作教室などを通じて年齢や学校の違う子供たちが学び合う場をつくる「あおばみんなの学校プロジェクト」も展開。ここで時間を過ごした子供が成長して学生スタッフ、社会人スタッフになるケースも多く、シームレスな世代間交流が行なわれています。

一方、ケアプラザでは未就学児とその親を対象にした通年のイベントや、小学校低学年を対象にした長期休みのイベントを開催していますが、なかなか中・高学年向けの企画がない、という課題があったことから、今回の体験教室が実現しました。

「感染拡大防止が最重要でありつつも、子供の学びを止めないことも大事にしたい」というのがあおば学校支援ネットワークの思いです。いつまでも“集まるのはやめましょう”ではなく、利用施設のガイドラインに沿い、最大限の対策をとりながら、子供たちが学び合える場をつくる ── あおば学校支援ネットワークが活動を再開したのは6月20日、子供たちが屋外で思いっきり体を動かすデイキャンプを開催しました。

今回利用する部屋ではスタッフも含めて20人という制限があったため(もちろん取材者もカウントに含まれます)、スタッフは最小限。限られた時間のなかで多くの役割をこなさす必要があり、それぞれの負荷は増えます。こうしたことも「ニューノーマル」の一つになりそうです。

チームで力と知恵を合わせて創りあげる

今回の企画は、理科実験を撮影する、というもので、講師は現役YouTuberでもあるフォトグラファー・映像クリエイターの中村隆一さん(なかむー)です。まず始めに、中村さんがご自身の動画作品を使って、「どんな動画にすればより面白くなるかな」のヒントを提供してくれました。

青葉台地域ケアプラザ・多目的ホール
講師は、フォトグラファー、映像クリエイターの中村隆一さん。青葉区で生まれ育ったそう。

次は、スタッフの「社長」と「おがちゃん」(みんなの学校プロジェクトでは、大人も子供も自分で呼び名を決めています)が、今日のお題「青いハーブティーにレモンを絞ったらどうなる?」のお手本(?)を披露。

おがちゃん(左)と社長(中)のデモンストレーションを、なかむー(右)が撮影。照明も両サイドから当てて本格的です。

二人のデモンストレーションを確認したら、今度は子供たちの番です。チームごとに自分たちがこれからつくるYouYubeチャンネルの名前や担当者、撮影の流れを話し合って決めていきます。

撮影担当は、ズームの使い方など、見る側によく伝わる撮り方を練習。

実験担当は、自分のリアクションをカメラ再生で確認しては「もっとこうしよう」と何度も挑戦。「では、」という接続詞を入れたほうが流れがスムーズかどうかを真剣に話し合っているチームもあり、みんな本気です 笑。

それぞれの役割に着いて、いざ本番!

撮影した後は、中村さんが動画編集ソフトに取り込み、途中の不要なシーンをカットしたり、効果音、音楽、キャプションを追加するなどの編集作業を紹介。どんどん“YouTube動画”っぽくなっていきました。

学校の外での学びの場にニューノーマルをつくっていく

中村さんは、「YouTuberはラクして稼いでいると思っている子供もいたかもしれませんが、たった一本の短い動画をつくるだけでも企画から撮影、編集まで一日がかり。この体験教室を通して、普段モニターを見ているだけでは分からない裏側を体感してもらえたら」と話していました。

参加した子供たちは、端的に伝えることの難しさを実感したとともに、何度も撮るうちに仲間や自分自身がスキルアップしていく様子や、たとえ失敗しても逆にそれが楽しい映像になる面白さにも気づいたことと思います。

本来なら、どんな理科実験をするかも子供たちに決めてもらうところですが、時間短縮のために主催者側が用意し、そのぶん学校では体験できない動画撮影にフォーカスしたそうです。プログラムをつくる側は、短い時間の中でこれまでより一層の取捨選択が求められるんですね。

あおば学校支援ネットワークでは、新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえつつ、引き続き子供たちの体験の場の企画を行なっていくそうです。8月には宿泊キャンプが予定されているほか、毎年恒例「青葉おばけやしきプロジェクト」は、お客を呼ばず自分たちでつくって自分たちで楽しむ形式で開催する予定です。

こうした集まりの場は、気がかりな子供たちを見守る場でもあります。大人数で集まれなければ、少人数で集まる機会を増やしていく ── あおば学校支援ネットワークは、秋からは新たな取り組みも始めようとしています。

NPO法人あおば学校支援ネットワーク
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中村隆一
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YouTube「Ryuichi Nakamura」
YouTube「なかむちゃんねる」

 

ABOUT ME
柏木由美子
システムエンジニアを経てIT関連の編集・執筆に従事後、フリーランス。現在はプロボノ活動でキャリアと暮らしを地元へシフト中。地域の異分野協働を通じた新しい価値創造を目指し、「スパイスアップ編集部」を軸に「かわもりあおば」「ボーイズクラブ」「日本体育大学女子サッカー部&日体大SMG横浜 オフィシャルサポーターズクラブBLUES事務局」「まちの相談所ネットワーク」等で活動。まちづくり・福祉分野の取材にも取り組む。