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【自主イベント】地域で新たな協業が生まれた見学会

2017年2月20日、スパイスアップの配布パートナーでもある えだ福祉ホーム の見学会&ランチ会「第2回えだ福祉ホームを見に行こう!」を開催しました。2回目の今回は、作業所の開設準備中の方、障害者家族の方、経営者、ボランティアに興味のある方、福祉の現場を見るのが初めての方まで、計6人にご参加いただきました。

円座になって、杉山所長の話を聞く参加者の皆さん

このイベントは、地域の障害者の皆さんのホームでの過ごし方や、地域での暮らしにどういった課題を抱えているかを知るイベントです。でも見学したり所長に質問したりするだけでなく、参加者が互いに持っている情報を共有しあうことも大切にしています。例えば、身体障害者の支援については知っていても知的障害者の支援については知らなかったり、利用している施設以外のことは知らなかったりと、家族や支援者が知らないことも多く、他の取り組みを知ることで自分たちの活動に生かせることがたくさんあります。

また障害者との接点がない人も、青葉区の現状を当事者や支援者など複数の角度から知ることができますし、立場が異なれば考え方も異なり、率直に意見を言い合うことで誤解が解けたり理解が深まったりします。特に、スパイスアップのイベントには多方面から参加してもらっているので、杉山所長によるえだ福祉ホームの機能や利用者の過ごし方などの説明の中で、今回も情報交換の時間を取りました。

次に、施設内の見学です。えだ福祉ホームではデイサービスも行なっています。利用者はストレッチや入浴、食事に加え、機織り班、粘土班、製菓班、レザー班、パソコン班に分かれて商品を製作しています。

機織り機も、障害に合わせて使いやすいように工夫されています。

この他、ダイレクトメールの発送や部品の組み立てなど、外部からの依頼があれば臨時のチームを組んで作業にあたります。例えばスパイスアップが発注しているフリーペーパーの年4回の発送および近隣配達は、粘土班の皆さんがアクセサリー製作を中断して対応してくれています。

粘土で作って焼くところから作業。丁寧に色付けされたアクセサリーパーツはきれいな発色です。

見学の後は、「キッチンわかば」へ移動してのランチ会。わかばでは、食材の購入や調理、配膳、会計といった食堂運営を通して、一般就労を目指す方々が働いています。わかばの食事は手作りのやさしい味で、今回も皆さんに好評でした。

この日のメニューはロコモコ丼とお芋の煮物、スープ、フルーツ。

今回の参加者の中には、五感を刺激する知育玩具「こどもトランプ1to10」を開発・販売する 合同会社バンビーノ の坂東友恵さんも参加していました。2015年に起業し、発売間もないトランプのビジネスパートナーを探していたそうです。この見学会をきっかけに、バンビーノとえだ福祉ホーム、またえだ福祉ホーム内での利用者と支援者が話し合いを重ね、トランプのパッケージの組み立てをえだ福祉ホームが受託することが決まりました。

使い方を紹介してくれている坂東さん。穴の形と数で何のカードか分かるトランプ。いろいろな遊び方ができます。

「こどもトランプ1to10」は、経済産業省のクールジャパン商品に採択され、今年10月から半年間、パリでの常設展示も決まった注目のプロダクト。すでに作業は始まっていて、担当するえだ福祉ホームの皆さんも張り切っています。見学会を通して丁寧な作業を実際に見てもらい、それが新たな協業につながりました。

持ちやすく、温かい肌触り。この箱の組み立てをえだ福祉ホームが担当します。

こうした協業のようなロールモデルだけでなく、この見学会を通して、例えばえだ福祉ホームの利用者が街なかで困っている時、「あ、えだ福祉ホームの人だ」と気付いて声をかける ─ そういったことが普通に起こればいいなと思っています。

キッチンわかばで話し合い中の皆さん。

見学会は2017年度も予定しています。一人でも多くの地域の皆様のご参加をお待ちしています。

●第一回のレポートも併せてどうぞ。
https://spiceupaoba.net/?p=3390
ABOUT ME
柏木由美子
システムエンジニアを経てIT関連の編集・執筆に従事後、フリーランス。現在はプロボノ活動でキャリアと暮らしを地元へシフト中。地域の異分野協働を通じた新しい価値創造を目指し、「スパイスアップ編集部」を軸に「かわもりあおば」「ボーイズクラブ」「日本体育大学女子サッカー部&日体大SMG横浜 オフィシャルサポーターズクラブBLUES事務局」「まちの相談所ネットワーク」等で活動。まちづくり・福祉分野の取材にも取り組む。