なでしこ1部昇格への道

【プレナスなでしこリーグ表彰式】日体大FIELDS横浜の受賞をレポート!

「2017年度プレナスなでしこリーグ/プレナスチャレンジリーグ表彰式」が10月9日(祝)、リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)のロイヤルホールで行なわれました。

表彰式の始まりを待つ会場

我らが誇る 日体大FIELDS横浜 からは、荒川恵理子選手・伊藤香菜子選手・嶋田千秋選手・植村祥子選手・後藤亜弥選手、そして矢野晴之介監督、中西浩二コーチ、柳明基コーチ、嘉山寧クラブマネージャーが出席しました。会場には各チーム関係者や選手、大会関係者、報道陣がずらり(ファンやサポーター、家族の招待はないんですね)。

「リーグ2部の優勝チームは、日体大FIELDS横浜です」

という司会者の声で、選手5人はテーブル席からステージへ。その間、監督とコーチ2人が一所懸命腕を伸ばしてスマホで撮影しているのを記者席から見ていた私は、「我が子の晴れ姿を撮影する父親のようだ」と思いました。“3人の父親”が見守る中、5人はしっかりと任務を果たしていきます(笑)。

日本サッカー協会からの表彰状を授与された嶋田選手(プレゼンターは日本サッカー協会会長の田嶋幸三氏)

日本女子サッカーリーグからの表彰状を授与された伊藤選手(プレゼンターは日本女子サッカーリーグ理事長の馬渕明子氏)

優勝トロフィーを授与された植村選手

賞金100万円を授与された荒川選手

副賞金芽米100kgを授与された後藤選手(プレゼンターはプレナス上席執行役員コーポレートコミュニケーション本部長の山内チズル氏)

チームを代表してスピーチをしたのは嶋田選手です。

「いま、感謝の気持ちを一番伝えたいのは、リーグ戦の全ての試合を成立させ、コントロールしてくださった審判の方々です。そして、リーグに携わってくださった方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。なでしこリーグは本当にエキサイティングで、素晴らしいリーグです。世界中に自慢したい女子リーグのスポーツだと思います。一緒に戦ってくれたチームメイトやファン、サポーター、運営スタッフ、そして物心ともに支えてくださったスポンサー企業の皆様、本当にありがとうございました」(嶋田選手)

そして、感謝の気持ちは監督やコーチ、そして最後にご両親へも。最後は「感謝の言葉しか出てきません。体中がありがとうでいっぱいです」と締めくくった嶋田選手。キャプテンとしてシーズン中、試合が終わるとすぐさま矢野監督と2人でミーティングをしていた姿が思い出されます。少し緊張しながらのスピーチに、私は親戚のおばちゃんのような気持ちになって大きな拍手を送りました。

そして、最優秀選手賞は伊藤選手です。

「私は今年で34歳になりました。もちろんピッチの上では、年齢は関係ないと思ってプレーしておりますが、あえてこの数字を出したのは、私がこの年齢になっても、このような素晴らしい環境や素晴らしいチームメイト、スタッフに囲まれてサッカーができていることが、長きにわたり女子サッカー界を築いてこられた多くの方のご尽力と、今いる選手、スタッフ、指導者の皆様、そして引退をされていった多くの先輩方のおかげだからです。本当に、環境と人に育てていただきました。そうした方々が掛けてくださった言葉やサッカーに対する姿勢は、今も鮮明に私の記憶の中に息づいておりますし、また、私の支えとなっております」(伊藤選手)

ここですでに感動していた私ですが、スピーチはさらに展開していきます。

「そんなふうに考えていくと、今私自身がプレーしているこの時間も、ひょっとしたら5年後、10年後、何かしらの形でつながっているのではないかと思いますし、もしそうであるならば、私にできることは微力かもしれませんができることがあるとすれば、これからの女子サッカー界に、あまり大きなことは言えませんが、せめて若い選手たちに響く何かを伝えたり、残したりしていけるように、その自覚と誇りを胸に、私自身がサッカーを追求することや楽しむことも忘れず、精進していきたいと思っております」(伊藤選手)

とても謙虚ながら、日本女子サッカー界の「いま」をしっかりとらえたうえで過去と未来を見つめ、その中でプレーし続ける選手としての覚悟が伝わる伊藤選手のスピーチ。心が熱くなった人も多かったと思います。

この日、荒川選手のさり気ない若手への気遣いも垣間見ましたし、経験豊富でサッカー愛あふれる2人の加入が、日体大1部昇格の大きな原動力になったのは間違いありません。

さて、リーグ1部の表彰に移っていきます。優勝チームは日テレ・ベレーザです。3連覇達成。しかも15回目の優勝。日本女子サッカーリーグ時代から3連覇、4連覇を達成してきた歴史を背景に、チームを代表してスピーチした岩清水梓選手は「帰るべき場所に帰ってこられた」と言いました。

しびれますね。

そしてリーグ1部の最優秀選手賞も、3連覇に貢献した日テレ・ベレーザの阪口夢穂選手が3年連続の受賞です。ベストイレブンにも日テレ・ベレーザから最多の8人!

対する2位のINAC神戸レオネッサ、3位の浦和レッドダイヤモンズレディースは「来季こそは」と早くも優勝奪還を誓っていました。

リーグ1部の各表彰を見ながら私は、「日本代表選手がひしめくこの熱い戦いに日体大も参戦するんだ」と、改めて1部昇格の重みを感じました。

表彰式の終了後、スポンサーの 工藤建設 創業者・相談役の工藤五三氏と エコ・テック 代表取締役の山口健一氏と一緒に、全員でステージに上がって記念撮影です。

写真中央の工藤氏は、日体大の試合会場でもよくお見かけしました。聞けばスポーツ一家で、ご自身も大好きなのだそう。日を追うごとにどんどん日体大のファンになり、「見に行った試合で負けると、帰ってからご飯が食べられなくてね。もぉ悔しくて」(工藤氏)。すっかり熱烈な日体大サポーターです(笑)。試合に負けた時のあまりに悔しそうな表情とは打って変わって、この日は終始笑顔でした。

記念撮影には写っていませんが、テレビ局やスポーツ新聞社の報道陣に混じって撮影をがんばった高橋もも選手と橋谷優里選手、お疲れさまでした!

来季の日体大FIELDS横浜は、リーグ1部でどのようなプレーを見せてくれるのでしょうか。まだ今季は「皇后杯」「関東大学女子サッカーリーグ」「全日本大学女子サッカー選手権」があります。まずはそこでいい結果を残し、来季の新たな挑戦へつなげてもらいたいです。

がんばれ、私たちの街の日体大FIELDS横浜!


なでしこリーグの冠スポンサーのプレナス(「ほっともっと」や「やよい軒」でおなじみ)は、2008年からの継続的なトップパートナー。2014年からは15歳以下の女子のサッカー大会「U-15プレナスなでしこアカデミーカップ」のトップパートナーも務めています。同社の山内氏は、引き続き来季もトップパートナーとして女子サッカーを応援していくと話していました。

また日本サッカー協会会長の田嶋幸三氏によると、同協会の登録選手のうち12歳以下の女子の人数が増えているそう。裾野を着実に広げている女子サッカー界のレベルをより高めるためにも、日本女子サッカーリーグ理事長の馬渕明子氏の「女子サッカーの環境整備と待遇改善に取り組んでいく」という言葉には、いちサポーターとして大いに期待します。

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ABOUT ME
柏木由美子
システムエンジニアを経てIT関連の編集・執筆に従事後、フリーランス。現在はプロボノ活動でキャリアと暮らしを地元へシフト中。地域の異分野協働を通じた新しい価値創造を目指し、「スパイスアップ編集部」を軸に「かわもりあおば」「ボーイズクラブ」「日本体育大学女子サッカー部&日体大SMG横浜 オフィシャルサポーターズクラブBLUES事務局」「まちの相談所ネットワーク」等で活動。まちづくり・福祉分野の取材にも取り組む。